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違法サイトについての考察

先日、外国から来た友人と会う機会があった。

野郎フェス後のとある平日の夜の事である。

野郎フェスの日程を知らなかった彼に、今度は是非野郎フェスに来てくださいと伝えた。

彼は僕の本を買うために、わざわざ僕の職場の近くまで来てくれていたので、

僕は用意してきた本を彼に渡した。

そのあと1時間ほどその場で話し込んでいた。

絵師をやっていると、外国の人からのコンタクトは意外と多い。

一番多い機会は英語で褒めてもらうことだ。

外国の人は言葉での自己表現と、他人を褒めるのが上手だ。

とても多くのコメントをくれる。

Google翻訳で内容を確認して、またGoogle翻訳で返信する。

そんなやりとりを数多くしていたが、直接会ったのは彼が最初だった。

彼はドイツに住んでいて、彼の話はとても面白かった。

僕は彼に1つ質問を用意していた。

「どこで僕のことを知ったの?」

彼の答えは違法サイトだった。

そして、twitter→Boothと経由して、作品もそこで買いなおしてくれたらしい。

さらに本の状態でも欲しいということだった。

違法サイトでは、勝手に翻訳されている場合もあると聞いたことがある。

定職に就きつつ、深夜まで描いて仕上げる漫画は、

時給換算すれば200円くらいかなぁなんて計算をしたこともある。

それを自己報酬のためだけに公開する違法サイトは悪者であることは疑いの余地はない。

だが自分も昔、作品の価値を知らずにそういうサイトを利用したことはある。

今はコミケに行けば諭吉が何人かいなくなるほどだけど…。

話を戻すが、違法サイトが広告にもなっているのか、とその時思った。

さらに掘り下げて聞いてみれば、漫画という文化は日本やアジアが特化していて、

海外で現物を手に入れることは難しいという。

国にもよるが、漫画と言えば【子どもの読む本】【ドラゴンボール】…という連想になるのだという。

そのなかに同人誌などというものは出てこない。

データであれ、海外の人が同人誌に接するために一番身近な存在が

違法サイトなのではないかと思った。

くりかえすが外人さんは褒め上手。

他人をリスペクトする。

だから違法サイトで作品に出会っても、こうして購入してくれることがある。

ジブリの作品は録画して持ってるけど、好きだからブルーレイを買う感覚だろうか。

こうなってくると違法サイトは100%悪者とは思えなくなる。

ただそういうサイトを自分で見た時、海外の人が掲示板で無料でデータを渡しあっているのを見た時、

意欲が失せ、怒りと悲しみを感じるのも確かだ。

せめて違法サイトが、作者のホームページなどを紹介しつつ公開すれば

少し印象は変わるのだろうか。

いや、彼らに創作者に対するリスペクトなどはないはずであるから、

そうされてもやはり気分は晴れない。

大切なのはやはり作品を扱う人の気持ちだと思っている。

そもそも創作者にリスペクトしない違法サイトが何をしようと、

それは配慮ではなく言い訳にしかならない。

しかし、海外への発信方法をそれ以外に見つけないと、

違法サイトは広告塔としても存在し続けてしまう。

僕はPatreonを去年から始めてみたが、あれはジャンルがイラストだけにとどまらず、

検索がはかどらない。見つけてもらえない、と感じている。

となればPixivさんに頑張ってもらえないかなぁと漠然と思ったが、

海外には海外の事情がある。

冒頭のドイツ人の友人の話によれば、ドイツではショタや獣人のR18は許されない。

国によっては男同士でさえアウトだ。

Pixivは日本の法律のもと存在している。

海外にどう発信すればいいのかなんて聞かれても、

そんなの無理だと答えるしかない。

ただ、日本のPixivはTwitterと非常に連動がうまくいっていると思う。

僕はthumbrでも同じことを考えたが、例の規制でその線は消えた。

ちなみに違法サイトが根絶された場合、どうなるか?

僕はそのサイトを見ているだけの人たちが作品を購入するようになるとは思えない。

そういう人たちは、無ければ無いで構わない人たちだと思っている。

ただ創作者の心労が少し減って、わずかにあった広告等としての役割がなくなることで

海外が日本の同人誌と接する機会が減るだけだと思う。

ではあった方がいいのかと聞かれると、気分的にはNOである。

さて解決策がなくなってきた。

しかしこの問題はイタチごっこである。

世界のあらゆる文化は同じ目にあっている。

映画や音楽がいい例だ。

創作者は違法サイトの存在を認めなくても、仕方なく認知するしかない。

100%満足できる世界はないし、笑って流すくらいの心持ちが必要なのかもしれない。

だが、創作者は自分の創作するもので生きていくのが夢でもある。

その規模が小さいほど、海賊版が出回ったときの傷は大きい。

そんなサイトを見つけて、少しでも気に入った時は是非ともご購入いただきたいと願うばかりである。

創作者にお金がない場合は、その創作者は創作を辞めるしかなくなるから。

それは、とても悲しいことだから。


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